ただ追いかけるだけじゃない、“止めきる”守備の考え方
守備の課題:「追いかけてるのに、止められない…」
少年サッカーの現場で、コーチや保護者からよく聞く悩みがあります。
「守備の詰めが甘い」「最後まで粘れない」「せっかく追いかけても抜かれてしまう」
子どもたちは懸命にボールを追っていても、実際には“奪い切る”までには至らない。
この差は、技術や体格の違いだけではなく、“守備の考え方”にあるのです。
「奪い切れる子」と「追いかけるだけの子」の違いはどこ?
守備の本質は「奪う」ではなく「止める・遅らせる・追い込む」
ある保護者の声が印象的でした。
「奪い切るって、必ずしもボールを取ることじゃないと思うんです。
相手とボールの間に体を入れて、サイドに追い込むことも“守備成功”ですよね」
この考え方こそ、現代サッカーの守備の本質です。
-
相手のプレーを限定し
-
味方が奪いやすい状況に追い込み
-
シュートや決定的なプレーを防ぐ
それができれば、ボールを奪わなくても「奪い切った」と言えるのです。
奪い切れる子の特徴とは? 〜見る・測る・我慢する〜
① 相手との「間合い」をコントロールできる
足の速さや当たりの強さよりも、大事なのは距離感とタイミング。
「今だ」と思った瞬間にスッと詰める一歩が違います。
② 正面から突っ込まず、コースを切れる
相手の利き足側を切ったり、サイドへ追い込むように角度を調整できる子は、守備で“止められる”選手です。
③ “無理にいかない”判断力がある
「奪いにいく」よりも「待つ」「遅らせる」という選択ができるのは、相手の動きをよく見ている証拠。
焦って足を出すと、かえって抜かれてしまいます。
守備指導のポイント:まず“守備の目的”を教える
「抜かれた=失敗」ではないことを伝える
指導の現場でありがちなのが、1対1でボールを奪うことだけを求めすぎるケース。
でも実際には、それよりも大切なのは守備の“目的”を理解させることです。
-
シュートを打たせなければ成功
-
サイドに追い込めれば成功
-
味方が奪える状況をつくれれば成功
こうした視点を持たせると、子どもは落ち着いて守れるようになります。
家庭や個別練習でもできる“守備感覚”の育て方
守備はゲーム形式の中だけでなく、個別にも練習できます。
-
相手の正面を取る練習:1対1でまず正面に立つ→サイドへ追い込む
-
フェイント対応:スローなフェイント→我慢して足を出さず間合いを保つ
-
視線・足元観察:相手の視線と足元を読む習慣をつける
日々の声かけでも、「今、どうやって止めようと思った?」など意図を引き出す対話が効果的です。
まとめ:「守備がうまい子」は“賢い子”でもある
“奪い切る守備”ができる選手とは、ただ身体能力に優れているだけではありません。
-
相手との距離を測れる
-
ボールを奪うだけが目的じゃない
-
チームを守るという意識がある
“守備の考え方”を理解した子は、ピッチで本当に頼りになります。
少年サッカーだからこそ、「攻撃の楽しさ」だけでなく「守備の喜び」も伝えていくべきです。
そうした指導が、次世代の“守備の名手”を育てていくのです。