少年サッカーの試合や練習で、よく聞く言葉の一つが「もっと寄せろ!」。
コーチや保護者がつい口にしがちな指導ですが、実際に“寄せが甘い”とされる子に、どうやって改善させていけばよいのでしょうか?
守備の基本ともいえる「寄せ」は、相手に自由なプレーをさせないための重要なアクションです。今回は、ある保護者の方の意見をもとに、その改善方法を考えてみます。
「寄せが甘い」原因とは?
まず、「寄せが甘い」と言われる背景には、次のような要因がよくあります。
- 相手との距離感が分からない
- タイミングが遅れる
- 突っ込むのが怖くて動けない
- そもそも“寄せる意味”を理解していない
つまり、単に「気持ちが入ってない」わけではなく、守備に対する理解不足や経験値の少なさが関係しているケースが多いのです。
寄せを覚えるには「場数」が一番の薬
ある保護者の方は、こう話してくれました。
「寄せって駆け引きだと思う。わたしは“場数を踏むこと”が一番の近道だと考えています。相手とボールが離れるタイミングをよく狙わせてます!」
この言葉には非常に実践的なヒントがあります。
守備の“寄せ”は、ただ距離を詰めるだけではありません。相手との駆け引きが含まれており、
- 相手のタッチが大きくなったとき
- パスを受ける前のタイミング
- ボールを持った選手が視線を落とした瞬間
など、“奪える可能性が高いタイミング”を見極めることが重要です。これは教科書ではなく、実戦の中で感覚として身についていくもの。だからこそ、試合や対人練習での「場数」が不可欠になります。
タイミングの「狙い方」を教える
「もっと寄せろ」と指示するだけでは、子どもは“いつ”“どうやって”動けばいいかが分かりません。
そのため、次のようなポイントを意識させると効果的です。
✅ 相手がトラップした瞬間を狙う
ボールと足が離れたタイミングは、ボールを奪うチャンスです。
✅ 相手が視線を落とした時に詰める
相手が下を見ている=周囲を見ていないため、プレッシャーを感じやすくなります。
✅ サイドラインを活用する
中央ではなく、あえてサイドへ誘導しながら寄せることで、ミスを誘いやすくなります。
こうした「守備の考え方」や「寄せ方のパターン」を伝えることで、寄せに“意図”が生まれ、成功体験につながります。
恐怖心を取り除くことも大事
もう一つ見逃せないのが、子どもが「ボールに寄せること」自体に恐怖や不安を感じているケースです。
- 抜かれたらどうしよう
- ファウルになったら怖い
- コーチに怒られるのが嫌
こうした気持ちは、プレーの萎縮を招きます。
そこで大切なのは、失敗してもいいという空気感と、「チャレンジしたこと」を褒めてあげる姿勢です。
「寄せにいったのはナイス!次はもう一歩早くいけそうだね」
「今の寄せ方、すごく良かった。次もその調子」
こうした声かけで、子どもの寄せへの意欲は確実に高まります。
まとめ:「寄せの甘さ」は、“場数”と“気づき”で変わる
寄せが甘い=根性がない、ではありません。
「寄せる」という守備の中にあるタイミング・距離感・駆け引きを知ることで、子どもの守備意識は格段に変わります。
そして、何よりも大切なのは、“失敗しても挑戦を認める姿勢”。
そうすることで、子どもは守備の主導権を握る楽しさを覚え、次第に自信を持って「寄せられる選手」へと育っていきます。