褒め方ひとつで、子どもの目が変わる瞬間
技術と同じくらい、「声かけ」は大事な指導
少年サッカーの現場で、ドリブルやパスといった技術指導と同じくらい重要なのが、「声かけ」やコミュニケーションです。
- どんなタイミングで言葉をかけるか
- どんな言葉を選ぶか
- どんな気持ちで伝えるか
たった一言で、子どもがやる気になることもあれば、逆に自信をなくすこともある。
**声かけは、育成の質を左右する“目に見えない指導”**だといえるでしょう。
実例:「できた・できない」から会話を始める
ある保護者の方が、こんなふうに話してくれました。
「僕は“できた・できない”から会話を始めることが多いですね。とにかく最初は褒めるところから(笑)」
このスタンスは、実はとても合理的です。
子どもにとって大事なのは、「自分の行動を見てくれていた」という感覚。
まずポジティブな部分に注目してもらえることで、心が開きやすくなり、会話も前向きに進みます。
- 「今日の守備、粘り強かったね」
- 「パスを出そうとしてたの、ちゃんと見てたよ」
- 「あの走り、よかったね!」
こんなふうに、「観ていたよ」「気づいてるよ」というメッセージを含んだ褒め言葉が、子どもの自己肯定感を育てていきます。
結果よりも、「挑戦したこと」への共感を
同じ方は、さらにこう話してくれました。
「結果よりも、そこまでの過程を認めることが大事だと思ってます」
この姿勢は、いま多くの教育現場やスポーツ育成で大切にされている考え方です。
たとえば…
- 「最後まであきらめずに走ったね」
- 「苦手なことにチャレンジしてたの、見てたよ」
- 「失敗した後も、切り替えてプレーしてたね」
こうした声かけは、子どもが「行動そのもの」に自信を持つきっかけになります。
逆に、点が取れなかった、負けたといった“結果”だけに着目すると、「どうせダメだった」「また怒られる」とチャレンジを避けるようになってしまいます。
声かけは「信頼関係づくり」の入り口
声かけは、単に褒めたり励ましたりするだけのテクニックではありません。
それは、**子どもとの信頼関係を築く“第一歩”**でもあります。
- 「この人は、自分のことをちゃんと見てくれている」
- 「この人の言葉なら、素直に聞ける」
子どもがそう思えるようになるには、日々の声かけの積み重ねが欠かせません。
大げさな言葉や特別な褒め方である必要はありません。
むしろ大切なのは、日常の中の小さな「気づき」を言葉にすること。
その数秒の言葉が、子どもたちの心の中に「やってよかった」「また頑張ろう」という火を灯してくれるのです。
まとめ:「ちゃんと見てるよ」の一言が未来を変える
子どもへの声かけに、絶対的な正解はありません。
でも、
「あなたのことをちゃんと見てるよ」
「頑張ったことを知ってるよ」
というメッセージが込められていれば、それだけで十分届きます。
- 「できた?できなかった?」
- 「今日はどんな感じだった?」
- 「どこが難しかった?」
そんな問いかけから始まる日常の会話が、子どもの心を開き、親や指導者との信頼関係を深めていきます。
一言の力が、子どもの未来を変えるかもしれない。
そう思って声をかけることで、その一言が子どもにとっての“支え”になるかもしれません。